SOHO基礎知識

バーチャルオフィス・コワーキング・賃貸SOHOの費用を3年で比較|実データ

バーチャルオフィス・コワーキング・賃貸SOHOの費用を3年で比較|実データ

ひとりで事業を始めるとき、仕事場をどうするかは最初の分かれ道です。バーチャルオフィスで住所だけ借りるのか、コワーキングスペースに通うのか、レンタルオフィスの個室を持つのか、それともSOHO可の賃貸を借りて住居と兼ねるのか。月額だけを並べると桁が違いすぎて、比べた気になれません。

そこでこの記事では、実際に募集されている物件と施設の価格を集計し、3年間の総額で並べ直しました。当サイトが掲載しているSOHO可賃貸619件と、コワーキング検索サイト「コワークナビ」が掲載している施設のプラン価格を使った、2026年8月時点の実測値です。最後に、金額だけでは判断を誤る理由もお伝えします。

比較の前提

想定するケース

ひとりで働く個人事業主または一人法人を想定します。従業員はおらず、来客は月に数回あるかないか。エリアは東京都内です。

使ったデータ

  • SOHO可賃貸:当サイト掲載の公開中物件619件(2026年8月時点)
  • コワーキング・レンタルオフィス:コワークナビ掲載の公開施設のプラン価格
  • バーチャルオフィス:各社の公式料金ページの記載(税込)

平均は高額な物件に引っ張られるため、以下では中央値と下位25パーセンタイルを併記します。実際に選ぶときの現実的な水準は、平均より中央値のほうが近くなります。

月額の実測値

それぞれの相場

形態中央値下位25%件数
バーチャルオフィス(登記可の最安帯)約1,650円660円〜公式料金より
コワーキング(ホットデスク・月額)12,100円1,707プラン
固定デスク44,000円16プラン
レンタルオフィス個室(東京都)66,000円41,580円469プラン
SOHO可賃貸(賃料のみ)198,000円155,500円619件

SOHO可賃貸の平均管理費は14,015円でした。賃料に加算すると、中央値の物件で月額212,015円になります。

初期費用

賃貸物件には初期費用がかかります。当サイト掲載物件のうち敷金なしは64件(10.3%)、礼金なしは226件(36.5%)でした。礼金なしは3件に1件あるのに対し、敷金なしは10件に1件です。敷金・礼金・仲介手数料を合わせて賃料の3〜4ヶ月分を見ておくのが現実的です。

バーチャルオフィスは入会金0円のサービスもあり、あっても5,500円程度です。コワーキングやレンタルオフィスは施設により幅があります。

3年間の総額で並べる

単純に積み上げた場合

初期費用を含めて36ヶ月分を積み上げると、こうなります。

形態月額3年総額
バーチャルオフィス(登記可・月1転送)1,650円約6万円
コワーキング(ホットデスク)12,100円約44万円
固定デスク44,000円約158万円
レンタルオフィス個室(下位25%)41,580円約150万円
レンタルオフィス個室(中央値)66,000円約238万円
SOHO可賃貸(下位25%+管理費)169,515円約672万円(初期費用込み)
SOHO可賃貸(中央値+管理費)212,015円約840万円(初期費用込み)

バーチャルオフィスとSOHO可賃貸では、3年で100倍以上の差があります。ただしこの比較には決定的な欠陥があります。次の章で説明します。

金額だけで比べると判断を誤る理由

賃貸SOHOは住居費を兼ねている

最大の落とし穴がこれです。SOHO可賃貸の3年840万円という数字は、そこに住むための費用を含んでいます。一方、バーチャルオフィスの6万円には住む場所の費用が入っていません。

つまりこの二つを並べるのは、はじめから比較になっていないのです。正しく比べるなら、いま住んでいる家の家賃を差し引いた「事業のために増えた分」で見る必要があります。

たとえば現在の家賃が12万円の人が、SOHO可の物件(中央値・管理費込み21.2万円)に移った場合、事業のために増えるのは月9.2万円です。3年で約331万円。これならレンタルオフィス個室(238万円)と同じ土俵で比べられます。

バーチャルオフィスには働く場所がない

もうひとつ。バーチャルオフィスは住所を借りるサービスで、そこで作業はできません。自宅で働ける人にとっては最安の選択ですが、自宅で働けない事情がある人にとっては、そもそも選択肢になっていません

小さな子どもがいて集中できない、家族と生活時間が違う、住居が手狭で作業スペースが取れない。こうした事情があるなら、バーチャルオフィスの6万円とコワーキングの44万円は、同じものを比べているわけではありません。

時間のコストが入っていない

通う形態には移動時間が伴います。片道30分のコワーキングに週5日通えば、月に約20時間を移動に使う計算です。時間単価を仮に3,000円とすれば月6万円分に相当し、これは施設の利用料を上回ります。

逆に自宅兼事務所なら移動はゼロですが、切り替えができずに働きすぎる、あるいは働けないという別の問題が生じることもあります。

判断の順番

まず「働く場所が要るか」で分ける

金額から入ると迷います。次の順で切り分けてください。

  1. 自宅で働けるか — 働けるなら、必要なのは住所だけ。バーチャルオフィスで年間2万円前後
  2. 働けないなら、毎日通うか — 週数回ならコワーキング(月1.2万円前後)、毎日で集中したいなら個室(月4〜7万円)
  3. 住居も同時に見直すタイミングか — 引っ越しを考えているなら、SOHO可賃貸で住居と仕事場を兼ねると総額が下がることがある
  4. 来客や許認可があるか — あるなら実体のある事務所が前提。バーチャルオフィスでは要件を満たせない業種があります

組み合わせるという選択

実務では併用もよく使われます。SOHO可の賃貸に住んで働き、登記と公開用の住所だけバーチャルオフィスに置く形です。貸主に登記の承諾を求めずに済み、自宅住所も公開しなくて済みます。追加費用は月1,650円程度です。

許認可や法人口座の論点はバーチャルオフィスで法人口座は作れる?許認可でつまずく業種と対策に、バーチャルオフィスの選び方はバーチャルオフィスおすすめ比較にまとめています。

よくある質問

いちばん安いのはどれですか?

金額だけならバーチャルオフィスで、3年で約6万円です。ただし働く場所は含まれません。自宅で働けることが前提の選択肢だとお考えください。

SOHO可賃貸は高すぎませんか?

3年840万円という数字には住む費用が含まれているためです。いま払っている家賃との差額で見れば、レンタルオフィスの個室と同水準になることがあります。住居費と事業費を分けずに合算で考えるのが、この形態の正しい見方です。

コワーキングとレンタルオフィス個室はどちらがよいですか?

実測では中央値でホットデスク12,100円、東京の個室66,000円と5倍以上の差がありました。オンライン会議が多い、電話を頻繁にかける、資料を置いておきたいといった事情があれば個室、そうでなければホットデスクで足ります。差額の月5万円を、その事情に払う価値があるかで判断してください。

まとめ

3年間の総額で並べると、バーチャルオフィス約6万円、コワーキング約44万円、レンタルオフィス個室約150〜238万円、SOHO可賃貸約672〜840万円でした。ただし賃貸には住居費が含まれており、そのままでは比較になりません。

判断は金額からではなく、自宅で働けるかから入ってください。働けるなら住所だけで足ります。働けないなら通う頻度で選び、住居の見直し時期が重なっているならSOHO可賃貸で兼ねることを検討する。この順番で考えれば、桁の違う数字に惑わされずに済みます。

※ 本記事の金額は2026年8月時点の当サイトおよびコワークナビ掲載データ、各社公式料金ページにもとづく参考値です。実際の費用は物件・施設・契約条件により異なります。

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