the SOHO(江東区青海)紹介|320区画が中庭を囲む、クリエイターが企画したSOHOビル

東京湾岸の青海に、外から見ると色の帯が何層にも積み上がったように見える建物があります。「the SOHO」です。
色に見えているのは、320を超える小オフィスの扉です。中庭を囲んでロの字型に配置された区画が、階ごとに違う配色で塗り分けられている。デザイン・アート・音楽の分野で活躍するクリエイターが企画に加わった、いわば働く人のためにつくられた集合体で、2010年の竣工から16年、いまも東京のSOHO物件のなかで独特の位置を占め続けています。
この記事では、この建物が何を考えてつくられたのか、どんな共用部があり、実際にどんな区画が出ているのかを見ていきます。
the SOHO という建物
正式名称は「the SOHO」。所在地は東京都江東区青海2丁目7-4、2010年1月18日竣工の鉄筋コンクリート造・地上13階地下1階建てで、建築延床面積は28,156.19m²あります。企画・運営は株式会社CreaVision(the SOHO 公式サイト)。
公式サイトはこの建物を「デザイン・アート・音楽など様々なジャンルで活躍するクリエイター集団が手がけた、新しい形のオフィス」と説明しています。企画に関わった名前として、中村貞裕、片山正通、グループ・ビジョンズ、藤原ヒロシ、森本容子、蜷川実花、幅允考、岡田光といった面々が挙げられています。
掲げられているコンセプトは「the SOHO TOKYO BAY NEW YORK STYLE」。仕事としての生産性と、居住空間としての快適性を兼ね備えた施設という位置づけで、東京湾岸の青海に新しいライフスタイルを提案する、という立て方です(CONCEPT)。
一般のSOHO可物件と何が違うか
「SOHO可」「事務所利用相談可」を掲げる賃貸の大半は、もともと居住用として建てられたマンションで、貸主が事務所としての利用を認めているという形です。管理規約は居住用のまま、運用で許容している。だから条件は物件ごとにばらつきます。
the SOHO は成り立ちが違います。用途として「店舗、事務所(賃貸)」が設定され、建物の企画そのものが小オフィスの集合体として組まれている。後から事務所利用を認めたのではなく、最初から働く場所として建てられているという点が、この建物の性格を決めています。
その差は、設計と共用部の両方に表れます。
ロの字型と色分けという設計
この建物のかたちには、はっきりした理由があります。
320区画を超える小オフィスを1棟に詰め込むと、必ず採光の問題が出ます。廊下側にしか窓のない区画が大量に生まれてしまう。the SOHO はこれを、ロの字型に配置して中庭を囲み、共用廊下を中庭側に、採光部を外周側に振ることで解いています。小区画のオフィス群が最大限に採光を確保できるように、と公式サイトは説明しています。
海側は2層吹抜けのピロティになっていて、中庭から外へ視線が抜けます。中庭にはデッキテーブルが置かれ、屋外の作業場所や打ち合わせの場として使えます。
そして3階以上の廊下は、壁や戸がさまざまなカラーに塗り分けられています。これが外から見たときの色の帯の正体です。
実用面でも意味があります。320区画を超える建物では、自分の区画がどこにあるか、来客に説明するのが面倒になります。色が付いていれば「何色のフロアの何番」で通じる。装飾に見えて、大規模な小区画集合体を人が使えるようにするための工夫でもあります。
320区画という規模
もうひとつ、この建物を特徴づけているのが区画数です。320を超える小オフィスがひとつの建物に入っている。
ひとりで働く人にとって、これは孤立の解消という意味を持ちます。自宅で仕事をしていると、一日誰とも話さない日が普通に発生します。同じ建物に同じような働き方の人が数百人いて、中庭やラウンジやカフェで顔を合わせる。公式サイトが想定入居者として「仲間とのコミュニティを重視する人」「イベントを楽しむ人」を挙げているのは、この規模があってこそ成り立つ話です。
実務的な利点もあります。区画数が多いぶん空室が出る頻度も高く、建物内での移動がしやすい。人が増えたときに広い区画へ移る、逆に絞りたいときに小さい区画へ移る、といった調整を同じ建物のなかで完結できます。住所も、共用部の使い勝手も、通勤動線も変わりません。
共用部
公式サイトが挙げている共用施設は、ロビーラウンジ、パティオ(中庭)、the SALON、コンベンションセンター、コインランドリー&ベンダーコーナー、スパ&フィットネス、屋上のスカイテラス。一部有料の施設があります。
コンシェルジュのいるロビーラウンジ
エントランスロビーには女性コンシェルジュが常駐します。制服はファッションブランド「KariAng」のデザイナー森本容子氏によるもの。入居者の生活をサービスで支える、という位置づけです(PUBLIC)。
自宅兼事務所の弱点のひとつが、受付機能がないことです。宅配、来客、郵便物。ひとりで働いていると、これらが全部作業の中断になります。常駐の受付があること自体が、この建物の実用的な価値になっています。
スパ&フィットネス
東京湾を一望できるトレーニング施設で、シャワーとスパを備えます。公式サイトは「居室からトレーニングウェアのまま直行できる」点を挙げています。
職住一体で暮らすと、意識して体を動かす機会をつくらないと一日が机の前で終わります。同じ建物内にあることの意味は、設備の豪華さよりも、行かない理由が消えることのほうにあります。
最上階のBAR
最上階には360度展望のBARがあります。映画撮影に使われたこともあり、そのひとつ下のフロアにはBARラウンジがあって、大規模なパーティにも使えるとされています。
入居者同士の接点をつくる場として設計されているのが、この建物の特徴です。コンセプトページでも、想定する入居者として「仲間とのコミュニティを重視する人」「イベントを楽しむ人」が挙げられています。
カフェ
建物内にはカフェもあります。色タイルの壁、黒いブリックの柱、大きな窓に沿って並ぶ木の椅子。共用部の作りは全体に、機能一辺倒ではなく、色や素材で場所ごとの性格をつけていく方向で組まれています。
その他
駐車場は131台(月額34,000〜38,000円・税別)、自転車置場は120台(月額500円・税別)。多目的サイクルポートは24時間利用可能です。
区画のつくり
区画は大きく2系統に分かれています。
- フレキシブルオフィス(2〜4階):67.72m²〜528.23m²
- SOHO区画(5〜13階):33.86m²〜120.96m²
低層階に大きめの区画、中高層階に小さめの区画を配した構成です。用途は「店舗、事務所(賃貸)」として記載されています。
区画のなかには、壁面いっぱいに絵が描かれたものもあります。クリエイターが企画に関わった建物という性格が、共用部だけでなく専有部にも及んでいる例です。
掲載中の区画
当サイトでは現在6区画を掲載しています。すべてワンルーム表記で、面積が33m²から128m²まで大きく開いています。
| 所在階 | 専有面積 | 賃料 | 管理費 | 1m²あたり |
|---|---|---|---|---|
| 8階 | 33.00m² | 17.49万円 | 34,100円 | 5,300円 |
| 11階 | 33.86m² | 20.35万円 | 34,100円 | 6,010円 |
| 8階 | 40.08m² | 22.66万円 | 40,700円 | 5,654円 |
| 12階 | 67.72m² | 42.90万円 | 68,200円 | 6,335円 |
| 13階 | 76.10m² | 44.33万円 | 77,000円 | 5,825円 |
| 4階 | 128.24m² | 66.33万円 | 128,700円 | 5,172円 |
いくつか読み取れることがあります。
まず面積の幅が大きいこと。33m²の小区画から128m²まで、同じ建物のなかで4倍近い開きがあります。一人で始めて、人が増えたら同じ建物内で広い区画に移る、という使い方ができる規模です。128.24m²の区画は4階なので、公式サイトの区分でいうフレキシブルオフィスにあたります。
次に1m²あたりの賃料が5,172円〜6,335円と、掲載全体の平均5,646円と同水準であること。都心3区(千代田・中央・港)の平均が5,969円なので、これらより安い区画も含まれます。コンシェルジュ、スパ&フィットネス、ラウンジ、カフェを備えた建物としては、単価は抑えられているといえます。湾岸という立地がそのぶんを吸収しているかたちです。
最後に管理費が面積に比例していること。33m²で34,100円、128m²で128,700円と、おおむね1m²あたり1,000円で設定されています。共用施設が多い建物なので、面積が大きくなるほど管理費の実額も大きくなる点は初期の資金計画に入れておく必要があります。
参考までに、当サイトの掲載物件で60m²以上の区画は549件中82件しかなく、その賃料中央値は43.9万円です。60m²を超える区画をSOHOとして探すこと自体が難しいなかで、この建物には67.72m²・76.10m²・128.24m²の3区画が同時に出ています。
立地をどう見るか
最寄りは新交通ゆりかもめの「東京国際クルーズターミナル」駅と「テレコムセンター」駅で、どちらも徒歩5分。「青海」駅からは徒歩15分です。
正直に言えば、都心のオフィス街への通勤動線としては強い立地ではありません。ゆりかもめは新橋・豊洲へ接続しますが、乗り換えが挟まります。打ち合わせが毎日のように都心で入る仕事だと、移動のコストが積み上がります。
一方で、この建物が向いているのは移動の頻度が高くない働き方です。制作、開発、デザイン、映像編集、音楽制作。人と会うのが週に数回で、あとは手を動かす時間が長い職種であれば、湾岸の静けさと広さのほうが効いてきます。
公式サイトが想定する入居者として「海が好きな人」を挙げているのは、飾りではなく実際の適性の話です。窓の外に湾岸の景色が広がり、建物を出れば海に近い。都心の密度から離れることを損失と感じるか、条件と感じるかで評価が分かれます。
数字でも確かめられます。当サイトの江東区の掲載13区画は賃料中央値17.49万円・平均専有面積46.9m²。掲載全体(中央値18.9万円・43.3m²)と比べて賃料は同等かやや安く、面積は広いという関係です。1m²あたりで見ると江東区5,248円に対し、都心3区(千代田・中央・港)は5,969円。同じ予算で1割強ぶん広く取れる計算になります。
もっとも、江東区の掲載13区画のうち6区画はこの the SOHO です。門前仲町・清澄白河・森下・木場・深川に1区画ずつという状況で、そもそも江東区でSOHO可の物件を探すと選択肢が少ない。そのなかで、複数の面積帯を同時に選べる建物はここだけ、というのが実情です。
周辺の環境
青海はテレコムセンター、日本科学未来館、東京国際クルーズターミナルが並ぶエリアで、住宅街としての密度は高くありません。コンビニや飲食は限られ、買い物はりんかい線の東京テレポート駅周辺の商業施設まで出るのが現実的です。
裏を返せば、周囲に音や人の出入りの多い施設が少ない。夜間に作業しても近隣を気にしなくてよく、撮影や配信のように音を扱う仕事とは相性がよいエリアです。最上階のBARが映画撮影に使われているのも、この建物と周辺の性格をよく表しています。
費用をどう見積もるか
この建物で見落としやすいのが管理費です。
掲載区画では管理費が1m²あたりおおむね1,000円で設定されており、賃料に対する比率はおおよそ15〜20%にあたります。たとえば67.72m²の区画は賃料42.90万円に対して管理費68,200円で、月々の支払いは合計49.72万円。128.24m²の区画では賃料66.33万円+管理費128,700円で79.20万円になります。
共用施設が多い建物なので、この水準自体は不自然ではありません。コンシェルジュ、スパ&フィットネス、ラウンジ、カフェ、コンベンションセンターを維持するための費用が乗っています。ただし賃料だけで比較すると実際の負担を1〜2割見誤るため、他の物件と並べるときは管理費込みで計算してください。
そのうえで、外部のコワーキングやジムを別に契約しているなら、その費用がここに含まれると考えると見え方が変わります。共用施設の一部は有料と案内されているため、どこまでが管理費の範囲かは契約前に確認が必要です。
探すときに確認すること
この建物は用途が「店舗、事務所(賃貸)」として記載されており、居住用マンションで事務所利用を相談する形の物件とは前提が違います。ただし、実際の契約条件は区画ごと・貸主ごとに変わります。
確認しておきたいのは次の点です。
- 法人登記の可否。事務所として貸されていても、登記の扱いは個別に確認が必要です
- 居住を伴う利用の可否。SOHOという名前でも、住むことを認めるかは条件次第です
- 共用施設の利用条件と料金。一部有料と案内されているため、実際にどこがいくらかを確認してください
- 契約形態と費用。事務所契約になると賃料に消費税が加わることがあります。管理費が面積比例で大きくなる点もあわせて計算してください
当サイトでは各区画のページに募集条件をそのまま載せています。上記について具体的に確認したい場合は、お問い合わせいただければ貸主・管理会社に確認します。
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※本記事に掲載している建物・共用部・区画の写真は the SOHO 公式サイトより、許諾を得て使用しています。
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